「リーン・リーン」と響く鈴虫の鳴き声は、とても涼やかでまさに日本の秋を感じさせてくれますね。
鈴虫のオスは求愛行動としてメスに向かって鳴き声をだしますが、じつは口から音をだしている訳ではありません。
鈴虫の鳴き声と呼ばれている音は、前羽を動かすことでだしているのです。
それでは、どのような原理で音をだしているのでしょうか。
また、音をだすために羽はどのような動きを見せるのでしょうか。
鈴虫がだす音の原理とは
鈴虫の音の原理を簡単に表現すると、左右の前羽をこすり合わせた音です。
右前羽の裏側には鑢状器(ろじょうき)と呼ばれるヤスリ状の部分があり、左前羽の表面には摩擦器(まさつき)と呼ばれるバチ状(ツメ状)の部分があります。
鑢状器のヤスリと摩擦器のバチを高速でこすり合わせることが鈴虫の音がでる原理です。
また、このように作られた音を響かせて遠くのメスに伝える仕組みも鈴虫は持っています。
薄く丈夫な膜で作られている発音鏡(はつおんきょう)は左右の前羽の内側にあり、周辺部を固い羽が取り囲む。
発音鏡および周辺部全体を称して発音鏡室(はつおんきょうしつ)と呼び、こすり合わせた音を共鳴させて音を大きくする役割を持ちます。
音をだすために鈴虫は羽をどう動かす?
秋の夜長に「リーン」と鳴いている鈴虫をのどかだなぁと感じている方も多いことでしょう。
ところがオスの鈴虫からしてみると、メスの鈴虫の気を引くために高速で羽を動かしているのです。
鈴虫は羽をどのように動かしているのでしょうか。
先に触れたヤスリとバチは右前羽の裏側と左前羽の表面についています。
そのため、こすり合わせて音をだすには左右の動きを必要とします。
両方の前羽を左右に動かすことで鈴虫は音をだしますが、その動きはとても速く「リーン」と1回音をだすのに40回以上も羽を動かします。
まとめ
ここまで、鈴虫がだす音の原理と羽の動きについてみてきました。
音がでる原理は左右の前羽にある鑢状器のヤスリと摩擦器のバチをこすり合わせによるものでした。
また、発生した音を大きくさせる発音鏡室という仕組みもありましたね。
羽をこすり合わせるため、鈴虫は羽を左右に動かします。
「リーン」と鈴虫の鳴き声が聞こえたときには、のどかだなぁよりも頑張ってるなぁと思ってくださいね。